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【ディスクレビュー】ビートルズ 『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド―50周年記念エディション-』を聴いた

投稿日:2017-06-07 更新日:

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ビートルズ中期の名作が50年ぶりに蘇った


『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』

言わずもがな超有名なこのアルバム

ビートルズがコンサート活動を辞めスタジオワークにのみ注力し、
録音技術の発展と共に楽曲をライブで”再現”する事はすでに放棄したことにより楽曲もより複雑になり
メンバーもギター、ベース、ドラム以外の楽器を縦横無尽に駆使しカラフルな音作りをしている

そしてこのアルバムは「世界初のコンセプトアルバム」と呼ばれ
架空のバンドの1夜のショーという演出がなされている
厳密にはトータルコンセプトがあるわけではなく、
1,2曲目が劇場で演奏しているようなSEとメドレー演出、そして12曲目にタイトル曲のリプライズがある事によって、そのような演出に聴こえるという仕組み

このコンセプトはポール・マッカートニーの発案らしく
アルバム全体もポール・マッカートニーが主導権を握っている楽曲が目立つ
もちろんジョン・レノンも名曲『Lucy In the Sky With Diamonds』などを書いている

そしてジョージ・ハリスンの『Within You Without You

この頃インドに傾倒しまくっていたジョージらしいラーガ・ロック
僕が中学生の頃これを聴いても全然良いと思えなかったけど、今聴くとなんとも味わい深い
シタールやタブラといったインド音楽独特の楽器を使いながらも、チェロなどの弦楽器も入れ
なんとも無国籍な楽曲に仕上げている
そして、ジョージ以外のビートルズメンバーは誰も参加していない
この曲が”架空のバンド”というコンセプトにすごくあっていると僕は思う

ジャケット写真のようにどこの国のどんな音楽かもわからないような
でもやっぱ”ビートルズだなぁ”と言える楽曲が並び
タイトル曲のリプライズが終わったあと、ジョン・レノンの珠玉の名曲
A Day In the Life 』でこのアルバムは幕を閉じる

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リミックスされ新たな音像に


今回のこのアルバムは「リミックスアルバム」

2009年にビートルズのオリジナルアルバムが全部再発された時は
”リマスター”バージョンだった

リミックスとリマスターの違いを簡単に説明すると

スタジオ録音で何本もマイクを使って、テイクを重ね
音量、音質、奥行きや左右への音の振り分けを調整する事を「ミキシング」と言う

このミキシングされたものを1枚のアルバムに収めるために
楽曲ごとに音量や雰囲気のばらつきがあるのでそれを整えるのが「マスタリング」と言う
例えば、アルバムでバラード曲の次に激しい曲が来ても違和感なく聴けるのはこのマスタリングという工程のおかげ

2009年版は「リマスタリング」だったので各楽器やボーカルの音量、音の定位は変更なく
音質、全体の音量だけ手直ししたもの

ビートルズのアルバムが発売されていた当時は、
モノラル盤が主流で、ステレオ盤は2の次だったらしい
当時のリスナーの再生装置はモノラルが主流だったわけだ

イヤホンとかでステレオ盤を聴いた事がある人はわかると思うけど、
ドラムが極端に左側に振れていたり、ボーカルが右側に振れていたりとかあると思う

今回のアルバムはリミックスなので、録音された楽曲のパーツ部分に戻ってミキシングしなおす作業
まず、ボーカルがちゃんとセンターの位置にある
そして、他の楽器を広がるように配置することでより深さのある音像に仕上がっている
ビートルズがこの作品を作った当時は4トラック、つまりモノラルで4回分しか録音出来ない状態
コンピューター上でこういった作業ができるようになったので、細かい手直しができるようになったわけだ

あらためて明らかになったビートルズの音
僕がすごいと思ったのは
楽曲のクオリティ、アレンジメントももちろんビートルズの素晴らしさであるけれど
今回のリミックスでより明確になった4人の演奏力の高さ
2009年のリマスター盤でもドラムの音が明瞭になってたけど、今回はよりはっきりと、リズム隊のグルーヴが前面に出ている

ビートルズが同時代のバンドの中で1番特別だったのは、ただ単に楽曲の良さだけではない、豊かな才能とチャレンジ精神だったんだと改めて感じることができる

 

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アウトテイク


disc2にはサージェント・ペパーズのアウトテイクが多数収められている

サージェント・ペパーズのホーン隊やSEを抜いたバージョンを聴くとバンドの生々しいグルーヴを確認する事が出来、本チャンと比べるとずいぶん楽曲の印象が違って聞こえる

そして、このアルバムの製作中に書かれたビートルズ屈指の名曲
『Strawberry Fields Forever』『Penny Lane』

この2曲が収録されている

楽曲の出来が素晴らしくてシングル盤として発売されたけど、
当時はシングル盤として出したものはアルバムに収録し無いという決まりがあったらしくこの2曲が収録される事はなかった
収録されなかったからこそサージェント・ペパーズは独特の雰囲気となり、
「世界初のコンセプトアルバム」と呼ばれるとこになったのだと思う

 

まとめ


今回のこのアルバムはあくまでリミックスアルバム
ビートルズが当時思い描いていた音像ではない(もちろん当時はコンピューターなどないので想像も出来はし無いだろうけど)
でも時間を越えてビートルズが残したものを新解釈で聴く事ができる
こんな贅沢な事はなかなかないだろう

RS






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