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11年ぶりのアルバムは歌もの
発売が待ちきれず前回の記事を書いたのだが、
6月28日にNewアルバム『Mellow Waves』が発売された
各所のインタビューでも答えている通り2006年発売の前作「Sensuous」から実に11年
でもその間に活動していなかった訳ではなく、ギタリストとしてYMOのサポートや、Plastic Ono Bandへの参加、攻殻機動隊のサントラ
salyu × salyuとしてアルバムをプロデュースしたり
2016年は高橋幸宏を中心としたMETAFIVEのメンバーとしての活動をしていた
なのでオリジナルアルバムまではあっという間の11年
プロデュースやサントラ、ギタリストとしての活動が多かったから、改めてコーネリアスの作品を作る際に自然と歌ものになる意識があったらしい
コーネリアスにしか作れない圧倒的な世界
前作「Sensuous」と前々作「Point」では音を意図的にずらすことによって各楽器を同時に鳴らさず、
楽器ひとつひとつの音を際立たせて聴かせることによって生まれるグルーヴを作り出した
これは世界的に見てもすごい発明だった
隙間を作ることによってグルーヴと音圧を作り出したのだ
コーネリアス節と呼べるのはこういったトラックの作り方と、意図的にいつも同じ音を使っている(厳密には常に同じという訳ではなく細かくアップデートされてはいる)ところにあると僕は思う
そして今回のアルバム先行でリリースされたシングル『あなたがいるなら』
この曲を聴いた時に感じたのは、楽曲の作り方
音色はいわゆるコーネリアス節と言っても良いような感じだったのだけれど、明確に「Sensuous」の頃とは変化していた
音を点と点で配置していく楽曲の作り方はさらに磨きがかかり、普通にライブでどうやって演奏するの?というくらい拍子をとるのが困難な曲だが、
真ん中に歌という軸がある
いままでももちろん歌はあったのだが、どちらかといえば”声という楽器”という使い方で、メッセージ性とかがある訳ではなかったのだが今回は歌詞にストーリーがある
この曲は作詞を元ゆらゆら帝国の坂本慎太郎が手がけていることも大きな要因だろう
坂本慎太郎は耳に残るフレーズを書かせたら日本屈指の作詞家だと思う
熱くなく、かといって寒さを感じる訳ではない、平熱よりちょっと低いくらいの歌詞を書かせたら抜群の面白さを出す人
「あなたが いるなら この世は まだましだな」
こんなラブソングはこの人にしか書けない
その坂本慎太郎が作詞したまさかのラブソングをコーネリアスが歌う
まさにアルバムのタイトルにもなっている”メロウ”な感じがそこにはある
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トラックメイキングにも変化が
囁くような歌声を軸にアルバムは進んでいくのだが、前作までとの違いはトラックにもあった
前にも書いたが、以前は点と点という印象が強かったけど、今回はあまり点を感じない
これがアルバムのタイトル”Wave”の部分なんだと思う
グリッドじゃない世界、面とか線とか曲線みたいなもの。鳴っている音の中に不確定要素が入ってきたり。
と、インタビューでも答えていたけれど、このアルバムは”波”の要素がすごく感じられる
大波というよりは、”温いさざなみ”といった感じ
以前は点と点を強調するため声も点々と曲の中に配置されていたけれど、今作はあまりそういう手法は多用されていなくて
軸の歌に対するオーソドックスなコーラス/ハーモニーが多い
これがまた本当に心地よい
そしてやっぱり歌のメロディーが良い
壮大な感じはなく、どこか箱庭的な世界観のアルバム
10曲で42分
このサイズもちょうどいい
今年の上半期はすごすぎる
今年に入ってから90’sが青春だった僕みたいな人たちには嬉しいリリース続きだった
テイ・トウワ、坂本龍一、電気グルーヴ、そしてコーネリアス
すべてすごい作品ばかりでリスナーとしてはホント1年の間にこんなに聴けていいの?って感じ
しばらくは『Mellow Waves』ばかり聴く生活になりそう
RS
1978年 東京の下町生まれ
高校卒業後にドラマーとして音楽活動を開始
2015年に全ての仕事を辞め家族で世界を見るために妻と子供2人と旅に出る
現在は
旅したり
子育て(というか子供と一緒に育ってる)したり
料理をしっかり作ったりしています
・ブログ『Sparkle in the air』主宰
・ハワイ島のクラフトビール “Big Island Brewhaus”輸入販売事業
『Golden Harvest Beer』運営
・旅のキュレーションメディア『airy ground』主宰